評     価  

 
       
File No. 2943  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年02月08日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   デイミアン・チャゼル  
       
上 映 時 間   141分  
       
公開時コピー   月への不可能な
旅路を体験せよ。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ライアン・ゴズリング [as ニール・アームストロング]
クレア・フォイ [as ジャネット・アームストロング]
ジェイソン・クラーク [as エド・ホワイト]
カイル・チャンドラー [as ディーク・ストレイン]
コリー・ストール [as バズ・オルドリン]
クリストファー・アボット [as デイヴ・スコット]
キアラン・ハインズ [as ボブ・ギルルース]
パトリック・フュジット [as エリオット・シー]
ルーカス・ハース [as マイク・コリンズ]
 
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あ ら す じ    1961年、空軍でテストパイロットを務めるニール・アームストロングは、幼い娘を病で亡くす。寡黙な彼は、悲しみに暮れる妻ジャネットの前でも感情を表に出すことはなかった。しかし悲しみから逃れるべくNASAのジェミニ計画の宇宙飛行士に応募し、みごと採用される。それは、宇宙開発競争でソ連に後れをとっていたアメリカが、人類未踏の月を目指すために欠かせない技術を確立するための計画だった。
 宇宙飛行士たちに課されるいくつもの過酷な訓練をこなしていく中で、エリオット・シーエド・ホワイトら飛行士仲間との間に確かな絆が結ばれていくニールだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    世界初の月面着陸、それが偉業であることに異論を唱えるつもりはない。だが、それがついに実現されたという映像を見せられても、なんら気持ちが動くこともなく終わってしまった。理由は明白で、人類が月面に降り立つことの大義名分があまりに希薄だからだ。それは、人類の未来のためか?答えは「否」だ。なぜなら、現在ではもっと容易かつ安全に月面探索が可能であるにもかかわらず、アポロ11号以降に誰ひとりとして月面には降り立っていない。人間が直接月に行かなくとも、無人探査機で月の調査が容易にできてしまうからだ。つまりは、アポロ計画とは極論すれば、当時冷戦状態にあったソ連に対する国力の顕示行為以外の何物でもなかったのだ。そのためにアメリカは、膨大な費用をかけて尊い人命を犠牲にしてきたのだ。ただ、今後月以外の惑星へ人類が降り立つことがあるならば、何らかの形でその際の参考データとして活かされる可能性はある。
 アームストロングの目線で撮影された映像は、確かに船内から観た景観に臨場感を与えてはいるが、その反面狭苦しさを感じてしまうのは残念だ。また、何種類かのカメラを駆使して撮影したのはわかるが、16mmカメラを用いたニールとその家族を描いたドラマ部分は、まるでフェイク・ドキュメンタリーのようで正直安っぽさを感じてしまった。そして、それが上に書いた“何ら気持ちが動くこと”がなかった理由の一つになっているのは否定できない。
 加えて、あまりに山もなく谷もなくただ淡々と描かれた映像は平板すぎて、これでは正直退屈させられる。もう少し脚色するなり、あるいは他のエピソードを挿入するなりしても良かっただろう。なぜって、これは決してドキュメンタリー映像ではなく、あくまでも映画なのだから。そして、そんな作風に合わせてのことだろうか、チャゼル監督と『ラ・ラ・ランド』に続いてタッグを組んだライアン・ゴズリングの演技も抑えに抑えたものとなっているのも物足りない。その点はもしかしたら、ニール・アームストロングという人物が実際に感情を表に現さない人だったからかもしれないが。