評     価  

 
       
File No. 2945  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年02月15日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   阪本 順治  
       
上 映 時 間   119分  
       
公開時コピー   描いた人生になってる?  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   稲垣 吾郎 [as 高村紘]
長谷川 博己 [as 沖山瑛介]
渋川 清彦 [as 岩井光彦]
池脇 千鶴 [as 高村初乃]
竹内 都子 [as 岩井麻里]
杉田 雷麟 [as 高村明]
信太 昌之 [as 池田]
菅原 あき [as 奈月]
堀部 圭亮 [as 津山]
岡本 智礼 [as 恩田]
原田 麻由 [as 白川]
牧口 元美 [as 藤吉郎]
小野 武彦 [as 大谷吉晴]
石橋 蓮司 [as 岩井為夫]
 
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あ ら す じ    とある地方都市。そのまたさらに郊外に暮らす高村紘とその妻・初乃、そして長男のの3人家族。父親から受け継いだ備長炭の製炭を生業とする紘は、口数も多くなく一見無愛想で、息子の明とぎくしゃくしていた。
 ある日、紘の中学からの友人で、自衛隊員として海外派遣されていた沖山瑛介が、何の前触れもなく街へ帰ってくる。瑛介はどうやら、妻子と別れて一人で故郷に戻ってきたらしく、紘は中学時代にいつも3人でつるんでいた、今は中古車販売を営む今井光彦に声をかけ、初乃の父・大谷吉晴の助けも借りて、瑛介の家の手直しをするが、それ以降瑛介は家にこもりきりになってしまう。
 紘の息子・明は反抗期の真っ最中で、どうやら学校でイジメも受けている様子だが、紘はそれに頓着していなかった。そんな紘に、「おまえ、明に関心もってないだろ。それが、あいつにもバレてんだよ」という光彦の的を射た言葉が突き刺さる。そして、これまで感じたことのない張り合いを感じ始めた紘。そんな父を見る明の目にも変化が現れかけ、それは何もかも順調に向かい始めているように見えていたが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    池脇千鶴が出演しているのと、メガホンを執っているのが阪本順治監督であること以外、あまり興味を引かれなかったのだが、観てみたらこれが意外に面白かった。主演の稲垣吾郎、そして友人役に長谷川博己と渋川清彦ということは事前に知っていたが、ナゼか冒頭に登場するのが、主役の稲垣吾郎を除いた2人。その時点で感じた「なぜ?」の疑問に引っ張られて、最後まで連れて行かれた感がある。
 とにかく、稲垣吾郎が素晴らしく、同じ元SMAPで『マスカレード・ホテル』に主演した誰かとは大違いなのだが、そもそも彼を引き合いに出すこと自体が稲垣に失礼かも知れない。脇を固めるのが長谷川博己と渋川清彦という曲者だが、2人に勝るとも劣らない演技を見せてくれていて、彼も味のある渋い演技ができるようになったものだと感心せずにはいられない。そして、池脇千鶴がまた期待通りの好演を見せてくれている。同窓会に出席するのをやめてあんなことをするだなんて、甲斐甲斐しくて最近特に涙腺が弱くなってきている私は、ついうるっとしそうになった。
 主役以外では、小野武彦や石橋蓮司といったベテラン勢がさすがの貫禄で脇を固めているから、それぞれのキャラクターの誰一人が突出するわけでもなく、全員が見事な調和を保っていて、その辺りは監督の手腕のなせる業なのかもしれない。また、紘の息子・明を演じた杉田雷麟の、父親紘を睨む嫌悪に満ちた眼差しが印象的だった。
 主役3人の、中学以来ずっと続いている友情は、観ていて本当に羨ましく感じる。そして、紘と初乃の夫婦の関係、明との父子の関係など、様々な人間模様が紡ぎ合わされた秀作で、もう一度劇場で観たくなってしまった。