評     価  

 
       
File No. 2947  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年02月15日  
       
製  作  国   アイルランド / アメリカ / イギリス  
       
監      督   ヨルゴス・ランティモス  
       
上 映 時 間   120分  
       
公開時コピー   ごめんあそばせ、
宮廷では良心は不要品よ。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   オリヴィア・コールマン [as アン女王]
エマ・ストーン [as アビゲイル・ヒル]
レイチェル・ワイズ [as レディ・サラ]
ニコラス・ホルト [as ロバート・ハーリー]
ジョー・アルウィン [as サミュエル・マシャム]
マーク・ゲイティス [as モールバラ公]
ジェームズ・スミス [as ゴドルフィン]
 
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あ ら す じ    18世紀初頭。アン女王が統治するイングランドはフランスと戦争中。アン女王の幼馴染で、イングランド軍を率いるモールバラ公爵の妻レディ・サラが女王を意のままに操っていた。そこに、サラの従妹だと名乗るアビゲイル・ヒルが現れる。上流階級から没落した彼女はサラに頼み込み、召使として雇ってもらうことになったのだ。
 ある日アビゲイルは、痛風に苦しむアン女王の足に、自分で摘んだ薬草を塗る。サラは勝手に女王の寝室に入ったアビゲイルをムチ打たせるが、女王の痛みが和らいだと知り、彼女を侍女に昇格させる。イングランド議会は、戦争推進派のホイッグ党と、終結派のトーリー党の争いで揺れていた。戦費のために税金を上げることに反対するトーリー党のロバート・ハーリーはアン女王に訴えるが、ホイッグ党支持のサラに、女王の決断は「戦争は継続」だと、ことごとく跳ね返される。
 舞踏会の夜、図書室に忍び込んで、蝋燭の灯りで本を読んでいたアビゲイルは、ダンスホールを抜け出して突然駆け込んできたアン女王とサラが、友情以上の親密さを露わにする様子を目撃してしまう。国を動かす2人と最も近い位置にいるアビゲイルに目を付けたハーリーが、アン女王とサラの情報を流すようにと迫るが、アビゲイルはキッパリと断る。そしてアビゲイルはそのことをサラに報告するが、褒められるどころか「双方と手を組む気かも」と勘繰られ、空砲で脅されるのだった。
 アビゲイルはサラが議会へ出ている間のアン女王の遊び相手を命じられるが、女王は「サラは国家の仕事より私を優先させるべき」と駄々をこねる。アビゲイルは、女王の亡くなった17人の子供の代わりだという17匹のウサギを一緒に可愛がり、上手く女王をなだめるのだった。アビゲイルはサラの信頼を徐々に勝ち取り、女王のお守役を務める機会が増えていく。いつもストレートに物を言うサラに対し、甘い言葉で褒め称える従順なアビゲイルに女王は心を許していく。
 議会では、トーリー党が激しく抵抗して増税を食い止める。女官長に就任して以来、初めてその権力に翳りが見えたサラに、今度は女王との関係を揺るがす大きな危機が訪れる。それは、いつの間にか野心を目覚めさせていたアビゲイルの思いがけない行動だった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    アン女王を演じたオリヴィア・コールマンがアカデミー賞主演女優賞に輝いた作品なのだが・・・・・他のノミネート女優の作品は、レディー・ガガの『アリー スター誕生』しか観ていないので何とも言えないけど、少なくとも私にはレディー・ガガの方がふさわしいとは思う。この作品でも、むしろ助演女優賞にノミネートされていたエマ・ストーンやレイチェル・ワイズが受賞していいんじゃないかとは思う。余談だけど、オリヴィア・コールマンよりもレイチェル・ワイズの方が3歳も年上なのは驚いた。
 作品はいくつかのChapterに分かれていて、それぞれのChapterにタイトルが付けられているのだが、そのタイトルがそのChapterの核心を突いたようなものではなく、どうでもいいようなセリフだったりするもんだから、これがかえって煩わしく感じる。
 女性上位のイギリスにおいては男性がまるで飾り物のようで、何とかして女王の取り巻き(ここではサラやアビゲイル)に取り入ろうとするのが滑稽ですらある。そんな権力の中枢にいるアン女王は、肥満で痛風に悩むという老醜ぶり。対するサラやアビゲイルが美人なだけに、2人の引き立て役になってしまっていて、主演としての影が薄く感じられるのもそのせいだろう。
 レイチェル・ワイズが、このところ観る者にあまりいい印象を与えない役が多いように思えるのがちょっと気がかりだ。冷静に観れば、歯に衣を着せずに物を言っているだけなのだが、ことアビゲイルに対する言動はいかにも意地悪をしているように見えてしまう。対するアビゲイルが、田舎から出てきたいかにも純真無垢な娘であるかのように見えるのでなおさらだ。だが、実はアビゲイルは見た目とは裏腹に、その腹の中は野心の塊のような女性で、サラに怪我を負わせた挙げ句王宮から追放されるように仕向けるのだ。
 だが、結局はそんなアビゲイルですら、実はアン女王の手のひらの上で遊ばれていたことになる。