評     価  

 
       
File No. 2954  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年02月22日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   バーナード・ローズ  
       
上 映 時 間   105分  
       
公開時コピー   行きはマラソン
帰りは戦
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   佐藤 健 [as 唐沢甚内]
小松 菜奈 [as 雪姫]
森山 未來 [as 辻村平九郎]
染谷 将太 [as 上杉広之晋]
青木 崇高 [as 植木義邦]
木幡 竜
小関 裕太
深水 元基
カトウ シンスケ
岩永 ジョーイ
若林 瑠海
竹中 直人 [as 栗田又衛門]
筒井 真理子
門脇 麦 [as 結衣]
阿部 純子
奈緒
中川 大志
ダニー・ヒューストン
豊川 悦司 [as 五百鬼祐虎]
長谷川 博己 [as 板倉勝明]
 
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あ ら す じ    時は長い鎖国時代の終わりを迎えようとしている日本。幕末の大老・五百鬼祐虎が浦賀に訪れた米海軍のペリーに開国を要求される中、安中藩主の板倉勝明は「いずれアメリカと戦になる」と考え、その時に備えて藩士の精神と体を鍛えようと遠足(とおあし)企画する。ところが、これを幕府に対する謀反と早合点した隠密・唐沢甚内が密書を送ったために、安中藩へ刺客が放たれてしまう。
 その時、城の中でもある騒ぎが起こっていた。勝明の娘である雪姫が城からいなくなってしまったのだ。異国に渉って絵画を学びたいという娘の夢を聞き入れず、さらには重臣の息子である辻村平九郎と結婚させようとする父・勝明の束縛を逃れるために、遠足に紛れて関所を越えようと考えたのだった。
 遠足に勝てば雪姫を娶ることができると信じる平九郎、周囲から一番になると信じられながら、密かに八百長を要求されていた上杉広之晋。そんな様々な藩士たちの思惑が入り乱れる中、いよいよ遠足がスタートしようとしていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    面白くない、重ねて言うが、全然面白くない。選んだ題材は決して悪くないと観る前には思っていただけに、これは完全な作り手による失敗作だろう。この作品を一体どういうベクトルの作品にしたかったのか。コメディにしては笑えるシーンが皆無でしかもグロいシーンが少なくない。もちろん感動作などではないし、シリアスな史実物にしては例によって竹中直人が浮いてしまっている。監督が何も考えずにやっつけ仕事でとりあえず作った、かのような印象を受けた。
 そもそも、日本の武家社会という独特な世界観の作品を作るのに、それを身をもって理解しているわけでもないイギリス人にメガホンを執らせたりするから、こんな得体の知れない作品になったんじゃないだろうか。まだ2月も終わっちゃいないのにもかかわらず、早くも今年のワースト作品最有力候補にノミネートだ。★を3個も付けたのは、豪華な出演者たちに敬意を表してのことで、でなければ1〜2個で充分だろう。「キャストの無駄遣い」と揶揄される作品は少なくないが、この作品以上にその言葉がふさわしい作品を、私は知らない。
 やたらと威張りくさっているだけの、長谷川博己扮する板倉勝明。父の束縛から逃れたいのはわかるが、一般藩士に紛れて遠足に出場までするか?の小松菜奈扮する雪姫。主役のハズなのに、やたら存在感に欠ける佐藤健扮する主人公・唐沢甚内。真面目に感動させたいのか、それとも笑いを取りたいのか判別しかねる竹中直人扮する栗田又衛門。八百長を迫られる、染谷将太扮する上杉広之晋。それらの個々のエピソードをつなぎ合わせて一つの作品としての調和を生み出すのが製作者の仕事のはずだが、どうやら監督は「感じるがままにアドリブで好きなようにやっていい」と役者の演技に任せきっていたようだ。以前、北川悦吏子の『ハルフウェイ』もそうだったが、それで面白い作品ができるならそもそも映画監督なんて必要ない。なのに、監督という役回りがなくならないのは、言うまでもないがそれが作品にとって必要不可欠だからで、「役者に任せて」なんてのは聞こえはいいが、その実は“手抜き”以外の何物でもないと断言したい。だから、登場するキャラクターがそれぞれてんでバラバラの方向を向いて熱演してしまっていて、部分的に面白い(かもしれない)シーンがあったかもしれないが、如何せん一つの作品としてのまとまりを著しく欠いているのだ。久しぶりに途中退場したくなった。
 唯一印象に残っているのが、佐藤健と青木崇高の対決シーンで、「おっ、剣心VS左之助の再来!?」なんて期待させられたものの、残念ながら迫力不足だし、あのシーンだけクローズアップされているように感じるのには違和感ありありだった。