評     価  

 
       
File No. 2959  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年03月08日  
       
製  作  国   ノルウェー  
       
監      督   エリック・ポッペ  
       
上 映 時 間   97分  
       
公開時コピー   衝撃の72分間、ワンカット。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   アンドレア・ベルンツェン [as カヤ]
アレクサンデル・ホルメン [as マグナス]
ブレーデ・フリスタット [as ピーター]
エリー・リアンノン・ミューラー・オズボーン [as エミリエ]
ソルヴァイク・コルーエン・ビルケランド [as 負傷した少女]
 
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あ ら す じ    2011年7月22日、ウトヤ島でノルウェー労働党青年部のサマーキャンプが行われていた。そこでは政治に関心のある数百人の若者たちが思い思いに国の未来について語り合っていた。そんな中、首都オスロの政府庁舎前で爆破テロ事件が発生したとのニュースが飛び込んでくる。妹のエミリエと一緒に参加していた少女カヤも、不安を感じながらもオスロから40キロ離れたウトヤ島とは関係ない出来事と考えていた。
 ところが突然、銃声が鳴り響き、人々がパニックに陥る。カヤも何が起こったのかわからないまま、仲間たちと森へ逃げ込む。やがて鳴り止まない銃声に恐怖を覚えながらも、離ればなれとなった妹を必死で捜し始めるカヤだったが・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2011年7月22日にノルウェーのウトヤ島で実際に起きた無差別銃乱射テロをモチーフにしたフィクション作品。72分のワンカット映像に偽りはなく、ひたすら主人公のカヤをカメラが追い、観ている者にあたかも事件現場にいるかのような臨場体験をもたらしてくれる・・・・・と、そこまでは良かったのだが。
 鑑賞前に“単独犯として史上最多の命が奪われた”ことを知っていたために、事件に遭遇した若者の「犯人は大勢いる」というセリフに、完全に混乱させられてしまい、以降は納得いかない気持ちを引きずったままに終わってしまった。フィクション作品であるということを、オープニングで明らかにして欲しかった。
 これが実話を基にしたフィクションだと知ったのはエンディングでのことで、それがわかって前述の疑問は解消されたものの、代わりに別の疑問が浮かび上がってきた。最大の疑問は、なぜフィクションなのか?という点だ。
 生存者も少なくなかったわけだから、彼らへの取材を基に事実を忠実に再現することもできたはずだ。にもかかわらずフィクションという手法を選択したからには、もっと観る者の恐怖感を煽るような脚色も可能だったはず。なのに、犯人はほとんど姿を見せず、ただ銃声と悲鳴が聞こえるだけ。最初は良かったようなものの、さすがに銃声だけが1時間以上も続くとなると、間延びして退屈させられてしまったとしても仕方ない。また、逃げ惑う若者たちが数人カヤの目の前を右から左へ逃げる課と思えば、間髪を入れずに別の若者たちが左から右へ逃げるという、文字通り右往左往しているのも不自然で違和感を覚える。
 加えて、主人公のカヤを殺してしまうというのは、あまりに悲劇的な終わり方で、観る者は恐怖感どころか救いようのない絶望的な気持ちに浸ることになる。行動を共にしていたナンパ目的で参加した青年(名前は忘れた)は助かっているのだから、カヤも最後には助かる設定にして欲しかった。