評     価  

 
       
File No. 2970  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年03月22日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   スパイク・リー  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー         

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジョン・デヴィッド・ワシントン [as ロン・ストールワース]
アダム・ドライヴァー [as フリップ・ジマーマン]
ローラ・ハリアー [as パトリス・デュマス]
ロバート・ジョン・バーク [as ブリッジス署長]
トファー・グレイス [as デビッド・デューク]
コーリー・ホーキンズ [as クワメ・トゥーレ]
ライアン・エッゴールド [as ウォルター・ブリーチウェイ]
ヤスペル・ペーコネン [as フェリックス]
アシュリー・アトキンソン [as コニー]
ポール・ウォルター・ハウザー [as アイヴァンホー]
 
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あ ら す じ    1979年のコロラド州コロラドスプリングズ。ロン・ストールワースは地元で初めての黒人警官に就任するが、最初の配属の記録保管室では同僚の白人警官たちから嫌がらせを受ける日々だった。そんな中、ある日ロンは黒人解放闘争を訴える政治組織、ブラックパンサー党が過激化しているかどうか調べるべくブリッジス署長からの任命を受けて潜入することになる。ロンはそこでコロラド・カレッジの黒人学生連合の代表である女性、パトリス・デュマスと出会う。
 ブラックパンサーに潜入した後、ロンは新聞でとある広告を見つける。それは、白人至上主義団体“KKK”のもので、ロンはあろうことか自分の名前を使いKKKに電話をかけ、人種差別主義者であると信じ込ませ、本部に今度出向く約束をとりつけてしまう。黒人のロンがKKKに潜入できるはずはなく、ロンの代わりに彼の名前を用いて潜入することになったのはユダヤ人警官のフリップ・ジマーマンだった。
 KKKに出向いたフリップは、ユダヤ人であることを隠し振舞いますが、メンバーの一人フェリックスは彼を疑い、嘘発見器にかけようとする。間一髪のところでロンが事務所を襲撃し、フリップは正体を明かされずに済むのだった。一方、ロンは定期的にパトリスと会うものの、彼女は警官をひどく嫌っているため、ロンは自分の職業を明かせぬまま複雑な思いを抱くのだった。
 ロンはKKK最高幹部、デビッド・デュークと電話でコンタクトを取ることに成功し、デビッドデービッドはロンを本格的にKKKへ勧誘する。その間フェリックスは妻のコニーを使い、黒人学生連合の会長であるパトリスの家へ爆弾を仕掛けると計画を立てていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    “KKK”(Ku Klux Klan:クー・クラックス・クラン)への潜入捜査を描いた作品、ということは観る前から知ってはいたが、だったら“KKK”って何の集団だ?ということになると、小学生の頃にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズに、タイトルは忘れたが“KKK”が登場する作品があり、危険なカルト集団だという認識を抱いたのが最初。そして、“白人至上主義”を掲げる秘密結社ということを知ったのはそれほど昔ではない。
 そんなことから、“KKK”が存在したのはシャーロック・ホームズが活躍した時代、つまりは19世紀末〜20世紀初頭という昔話だと思い込んでいて、まさか現存する組織だなんてことは、この作品と出会うまでは知らなかった。それにしても、アメリカという国、日本よりもずっと昔から自由な国だったというイメージがあっただけに、『グリーンブック』、『ビリーブ 未来への大逆転』、そしてこの作品といい、20世紀の後半に入ってもなお様々な差別があったことには驚かされた。
 この作品が、“KKK”に潜入捜査した黒人警察官ロン・ストールワースの実話だと知って、当然ながら「そんな真似できるわけないだろう」と思った。案の定観てみると実際に潜入したのは同僚の白人警官フリップ・ジマーマンであって、実際にKKKのメンバーと接触して命の危険に晒されたのもフリップ、ロンは電話だけの潜入だった。声だけの潜入捜査をもって『ブラック・クランズマン』というのはいかがなものか、とも思ったが、こればかりは実話だから仕方がない。
 まず面白いと思ったのは、“BLACKKKLANSMAN”という作品の原題だ。“BLACK”と“KLANSMAN”に一回り小さな“K”が挟まれているのは、“BLACK・KLANSMAN”とするところを、“・”の代わりに小さな“K”を使うことで、上手い具合に"KKK"をタイトルに織り込んだのだろうと思う。
 前半は嘘のようにやることなすことが上手く行き過ぎているが、実際には細かな苦労もあったことだろうと思う。実際に組織に潜入したフリップが白人だったのはいいが、実は彼がユダヤ人で、KKKがユダヤ人をもあれほど蔑む集団だったために、それはそれで別の困難がつきまとうことになったというのは面白い。そしてクライマックスに近づくと、潜入捜査がバレそうになって、一転して緊迫感がみなぎってくる。爆破は行われてしまうのか?それによる犠牲者は?身分がバレてしまったフリップの運命は?といくつもの疑問が湧いてきて、ハラハラさせられること必至だ。
 何だかんだ言って、ラストは絵に描いたようなハッピー・エンドで、あの黒人に対する差別むき出しの嫌みな警官の末路には「ザマミロ!」と言いたくなる。余談だが、パトリスが眼鏡をはずすとそれほどまでに可愛いとは思ってもみなかった。
 エンディングではいくつかの闘争や暴動と思われる映像が紹介されるが、アメリカ人ではない私には、それがどのような差別と絡んでくるのかがわからなかったのは残念。その点は、もう少し詳細に字幕での説明を加えて欲しかった。