評     価  

 
       
File No. 2979  
       
製作年 / 公開日   2017年 / 2019年04月12日  
       
製  作  国   スペイン / アメリカ  
       
監      督   セルヒオ・G・サンチェス  
       
上 映 時 間   110分  
       
公開時コピー   マローボーン家の4兄弟が守る
“掟に隠された謎”が打ち破られた時
あなたは衝撃の結末を目撃する!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジョージ・マッケイ [as ジャック]
アニャ・テイラー=ジョイ [as アリー]
チャーリー・ヒートン [as ビリー]
ミア・ゴス [as ジェーン]
マシュー・スタッグ [as サム]
ニコラ・ハリソン [as ローズ(母親)]
カイル・ソーラー [as ポーター]
トム・フィッシャー [as 父親]
マイラ・キャスリン・ピアース [as モリー]
ポール・ジェッソン [as 医師]
 
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あ ら す じ    1960年代末、アメリカ・メイン州。片田舎の古めかしい屋敷にマローボーン家の4兄妹が越してくる。責任感の強い長男・ジャック、家族思いの長女・ジェーン、短気な次男・ビリー、天真爛漫な末っ子・サムの4人が祖国イギリスでの悲惨な過去を捨て、新しい人生を踏み出そうとした矢先、母・ローズが病でこの世を去ってしまう。
 やがて間もなく、凶悪殺人鬼の父親が脱獄し、イギリスから彼らを追ってくる。ジャックは父に敢然と立ち向かう。6ヶ月後。ジャックが父を殺害したことで静かな日常を取り戻していたが、不気味な物音、天井の異様な染み、兄妹以外の気配など、この屋敷は何かがおかしかった。不安げな弟妹たちを案じたジャックは、
1.21歳になるまでは屋敷を離れてはならない
2.鏡を覗いてはならない
3.屋根裏部屋に近づいてはならない
4.血で汚された箱に触れてはならない
5.“何か”に見つかったら砦に避難しなくてはならない
という5つの掟を守らせる。
 親代わりの重圧を担うジャックの心のよりどころは、地元の美しい少女・アリーだった。アリーの勤める図書館でお互いの想いを確かめ合ったジャックは、そこで弁護士ポーターから思いがけないことを告げられる。マローボーン家が屋敷を正式に相続するために、ローズの署名と手数料200ドルが必要だったのだ。
 母が死んだことを隠し、生活資金も残りわずかなジャックは弟妹と相談し、ジェーンが母の筆跡を真似て書類にサインし、父が犯罪で稼いだ“箱”の中の大金に手をつけることにする。「血で汚された箱に触れてはならない」という掟に背いた直後から、兄妹は悪夢のような事態に見舞われていく。ジャックがこの屋敷で暮らし始めてから綴った絵日記を見たアリーは、そこに記されていた真実に息を飲む。マローボーン家の屋根裏部屋にうごめく“何か”の正体とは・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    Yahoo映画のレビューを見ると結構評価が高いのは、実は意外だった。決して悪いとは言わないが、だからと言って「傑作」などと言うほどの作品かと聞かれたら、答えは「微妙」としか言いようがない。ちなみにこの作品、ホラーだと捉える向きが少なくないが、私は決してホラーではないと思う。そして、霊や悪魔といった超常現象は一切登場しない・・・・・とまぁ、このくらいは暴露してもネタバレだと叱られることはない・・・・・と思う・・・・・多分。
 長女のジェーンが佇む部屋の窓から撃ち込まれた1発の銃弾、そこから平穏だった4人の生活は大きく変わってしまう。前回書いた通り二度目を観に行って気がついたのだが、銃弾が撃ち込まれる以前のマローボーン家には、「鏡を覗いてはいけない」という掟にもかかわらず、これ見よがしに鏡があちこちに置かれている。つまり、それは裏を返せば銃弾を撃ち込まれてから掟ができたということになる。そして、銃弾が撃ち込まれた以降の映像には、それ以降はおそらくは大きすぎて動かせないのだろう階段の大鏡を除いては、一切鏡がないのだ。つまり、銃弾が撃ち込まれてその後何が起きたのか、それが一家の秘密を解く大きな鍵になるのだが、さすがにそれはここで明かすワケにはいかないから、劇場でどうぞ。
 この作品で重要な役割のヒロインを演じるアニャ・テイラー=ジョイだが、最初に彼女が登場したとき、「どこかで観た女優だ」とは思ったもののどこで観たかがどうしても思い出せなかった。で、Webで調べて『スプリット』『ミスター・ガラス』のヒロインの子だとやっと思い出した。この作品では一抹の清涼剤の役割を果たしてくれていて、特にラストでは希望が感じられる爽やかな終わり方になっているのも、彼女に負うところが大きいと思う。
 現実的に考えると、突っ込み所は少なくない。長男のジャックでさえ、定職はおろか臨時のバイトすらしている気配はなく、弁護士のポーターから要求された200ドルすら支払えない状況で、一体どうやって日々の生活費を得ているのか。あるいは、5つの掟についても、なぜ21歳になるまで屋敷を離れちゃいけないのか、そして“何か”に見つかった時にあの砦に避難することで一体何の意味があるのか。相手が悪魔や霊だったら“結界が張ってある”なんて理由も通じるだろうけど、その“何か”はそんなモノが通用する相手じゃない・・・・・って、これはネタバレになってしまうかな(^-^;。