評     価  

 
       
File No. 2981  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年04月12日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   ドノヴァン・マーシュ  
       
上 映 時 間   122分  
       
公開時コピー   そこは音だけが《見える》戦場  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ジェラルド・バトラー [as ジョー・グラス艦長]
ゲイリー・オールドマン [as チャールズ・ドネガン統合参謀本部議長]
コモン [as ジョン・フィスク海軍少将]
リンダ・カーデリーニ [as ジェーン・ノーキスト]
ミカエル・ニクヴィスト [as アンドロポフ艦長]
トビー・スティーヴンス [as ビル・ビーマン]
 
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あ ら す じ    ロシア近郊のバレンツ海で、アメリカ海軍原潜タンパ・ベイが、ロシアの原潜と同時に消息不明となる事態が発生する。タンパ・ベイの捜査に当たるべく、アメリカ海軍のジョン・フィスク少将は、別名“ハンターキラー”と呼ばれる攻撃型原潜アーカンソー号の派遣を決定し、艦長として、海軍兵学校出身ではないものの、現場経験が豊富なジョー・グラスを抜擢する。
 早速捜索に向かったアーカンソー号がバレンツ海で発見した物は、無残に破壊されたタンパ・ベイとロシア原潜の残骸だった。するとその直後、アーカンソー号は、氷山の下に潜んでいたロシア側とおぼしき原潜の魚雷攻撃を受ける。タンパ・ベイを撃沈させたのはこの原潜だったが、グラスの的確な指示によってアーカンソー号は見事にこれを返り討ちにする。
 その頃地上では、フィスクが国家安全保障局(NSA)のジェーン・ノーキストから、ロシア国内でクーデターが企てられているとの情報を受けていた。そこで2人は、ビル・ビーマン隊長率いるネイビーシールズ精鋭部隊4名を秘密裏にロシアに送り込む。
 一方、撃沈されたロシア原潜の残骸跡を見たグラスは、ロシア原潜は乗組員の反乱により内部から破壊されたと推測する。さらには生存者がいることも分かり、アンドロポフ艦長を含む3名のロシア人の救出に成功する。かたや、ロシアに潜入したネイビーシールズたちが見たのは、現ロシア大統領ザカリンを拘束したロシア国防大臣のドゥーロフが、海軍基地を占拠する様子だった。ドゥーロフは、他国に依存しないロシア国家の樹立を目指し、アメリカ攻撃を目論むクーデターを起こしたのだった。この事態に、チャールズ・ドネガン統合参謀本部議長は、空母艦隊を派遣し武力行使によるクーデター鎮圧を、アメリカ大統領に直訴するのだった。
 しかし、下手をすれば第3次世界大戦にもなりかねないリスクを考慮したフィスクは、ロシアに潜入中のネイビーシールズにザカリン大統領を救出させ、アーカンソー号に収容するというプランを提言する。こうして、深海と陸を又にかけた、危険なミッションが本格始動するのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    エンディングで“ミカエル・ニクヴィストに捧げる”とあって、まさかと思い調べてみて、彼が肺癌のため亡くなっていたことを初めて知った。亡くなったのは2017年6月と2年も前だったことはもちろん、56歳というあまりにも若すぎる死はさらに驚きだった。『ミレニアム』三部作以来気に入って注目してきた俳優だけに、非常に残念だ。遅まきながらご冥福をお祈りします。
 ロシアを仮想敵国にしたアメリカ万歳の映画かと思ったら、意外にも実はイギリス映画だったこの作品。登場する俳優も、ジェラルド・バトラーを筆頭に英国人が多いのだろうが、その中でゲイリー・オールドマンが出演している事には全く気づかなかったのはちょっと悔しい。とにかく、ジェラルド・バトラーが主演ということもあって、重箱の隅をつつくような突っ込みをしなければ、120分の尺もあっという間だし、観終えた後の気分も爽快以外の何物でもない娯楽作品で、『アベンジャーズ』がまだ封切りされていない現時点のGW映画に、思わぬ伏兵が堂々と主戦場に名乗りを上げてきたといったところだろうか。正直観る前はここまで期待はしていなかったからね。
 さすがに東西冷戦時代とは異なり、ロシアを真っ向から敵国として描くような真似はせず、ロシア国内のクーデター発生という設定になっっている。だから、アンドロポフ艦長はもとよりロシア大統領さえもグラス艦長を信じ切っちゃうという安易と言えば安易なストーリーが、逆に心地いい。最初は疑心暗鬼だったアンドロポフ艦長が、次第にグラス艦長を信頼していく心理の移り変わりが上手く描かれていて、ラストの艦上での2人のシーンの感動に繋がっている。
 ただ、欲を言えば『バトルシップ』で、浅野忠信が見せてくれたような津波ブイを利用した攻撃や、テイラー・キッチュが行った錨を下ろして急旋回しながらの砲撃のような、頭脳戦が観られると期待していたのだが、現実にはハンターキラーとシールズによる地上戦の二重作戦のため、ハンターキラー中心というワケにもいかなかったようだ。