評     価  

 
       
File No. 2982  
       
製作年 / 公開日   2019年 / 2019年04月12日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中田 秀夫  
       
上 映 時 間   83分  
       
公開時コピー   快楽の人格四重奏。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   飛鳥 凛 [as 櫻木京子]
大島 正華 [as 直美]
松山 愛里 [as ゆかり]
中谷 仁美 [as ハル]
水橋 研二 [as 田島冬樹]
浜田 信也
吉岡 睦雄
根岸 季衣 [as 櫻木友香里]
 
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あ ら す じ    ビストロで働く美しいギャルソン、櫻木京子。だが幼い頃義父から性的虐待を受け続けた過去により、複数の人格が潜んでいた。別人格は京子を愛するレズビアンの直美、自由奔放なビッチで母親と同じ名を名乗るゆかり、そして虐待を受けた小学生のままのハルという様々な人格と辻褄を合わせながら暮らしている。
 母親の友香里は若いころから異性関係に奔放で年下の彼氏がいながら、娘の職場にまで金をたかりくる有り様だが、お互いに嫌悪感を抱きながらも離れられずにいた。これらにより異性を好きになることのない京子だったが、ある日マンションの隣人が憧れの小説家・田島冬樹と知り恋心を抱き始める。そして2人の距離が縮まるにつれ、田島の周辺に不可解な出来事が重なり、別人格たちは田島に京子に近づかないよう忠告するものの、田島は京子が解離性同一性障害であることを知った上で、彼女を受けとめようとする。
 だがある日、京子の腕に“殺す”という恐ろしい文字が真紅の口紅で書かれ、今まで保たれていた均衡が大きく崩れ始めようとしていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    最初から13日(土)に観るつもりでいたこの作品、12日(金)に公開だと知らずに初日舞台挨拶を予約してしまい、土曜日にテアトル新宿で発券がエラーになって初めて前日を予約してしまっていたことに気づいたという間抜けなオチがついてしまった。この作品のためにわざわざ新宿まで出向いた手前、そのまま何もせずに帰るわけにもいかず、やむなく再度1,300円を払う羽目になってしまった。
 解離性同一性障害、早い話が多重人格を扱った作品なのだが、非常に残念な内容だった。本来の人格である京子、直美、ゆかり、そしてハルという4つの人格をそれぞれ別の女優が演じる、という設定は面白く、確かに京子が今誰の人格に支配されているのかが一目瞭然だという点ではいい試みだと思う。ただ、中谷仁美演じるハルだけは、見せ場がなくてちょっと可哀想にも思えたりしたけど。
 メガホンを執った中田秀夫監督は、“『リング』の監督”というイメージが強く、最近では『スマホを落としただけなのに』も監督していることから、サスペンスとしての高いレベルを期待していたのだが、残念ながらその点では完全な期待外れに終わってしまい、非常にロマンポルノ色の強い作品だった(中田監督はもとはロマンポルノ出身だとか・・・)。冒頭の京子と直美の愛欲シーンが異様に長くて、83分という短い尺を考えると、そんなシーンにあれほど時間を割くとは、私には理解しがたかった。もっとも、「R18+」指定の作品だから、それを期待して観た観客は少なくないと思うし、私も一応健康な成人男子だから、エロティックなシーンは決して嫌いじゃない・・・・・てか、ハッキリ言えば好きなのだけど、それにしてもあれはねぇ・・・・・。
 私は解離性同一性障害についてそれほど知識があるワケではないが、この作品のように複数の人格が同時に現れるってことはないんじゃないだろうか。2つの人格が会話を交わすことなどそもそも不可能だし、まして4人でテーブルを囲んで・・・・・なんてあり得ないだろう。おかげで、最初に京子が帰宅したシーンでは、出迎えた直美が別人格じゃなく、本物の別人の同居人であると誤解してしまった。
 1点だけ疑問が残ったのは、タイトルにもある“殺人鬼”とは、一体どの人格のことなのか。母親・友香里の愛人を殺したのは、おそらくゆかりだろうと思われ、その点について否定しているゆかりは嘘をついているとしか思えない。だが、母親を殺したのは誰?ラストで田島をも殺してしまったのは?思うに、『殺人鬼を飼う女』どころか、京子自身が2人を殺した“殺人鬼”だとしか思えないのだが・・・・・。