評     価  

 
       
File No. 2993  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年05月03日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   ガス・ヴァン・サント  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   世界は意外と
やさしさであふれている。
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   ホアキン・フェニックス [as ジョン・キャラハン]
ジョナ・ヒル [as ドニー]
ルーニー・マーラ [as アヌー]
ジャック・ブラック [as デクスター]
トニー・グリーンハンド [as ティム]
ベス・ディットー [as レバ]
マーク・ウェバー [as マイク]
ロニー・エイドリアン [as マーティンゲール]
キム・ゴードン [as コーキー]
ウド・キア [as ハンス]
キャリー・ブラウンスタイン [as スザンヌ]
 
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あ ら す じ    若くして酒に溺れるジョン・キャラハンは、ある時これまた泥酔した友人デクスターが運転する車で事故に遭い、胸から下が麻痺して動かなくなったために車椅子生活を余儀なくされてしまう。
 絶望で自暴自棄となり、ますます酒に溺れる日々を送るジョンだが、断酒のグループ・セラピーで自分を見つめ直すと同時に、その会を主催するドニーや後に恋人となるアヌーとの出会いがジョンの心を前向きにしていく。そして持ち前の辛辣なユーモアを発揮して風刺漫画を描き始め、ジョンは自らの人生を取り戻していく・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    う〜ん・・・・・正直言って、ホアキン・フェニックスの主演作、特にここ最近の作品はどうも好きになれない。この作品もルーニー・マーラとジャック・ブラックが出演することを知って観てみようと思ったものの、主役のジョン・キャラハンを演じるのがホアキン・フェニックスだと知った時は、一瞬躊躇してしまったくらいだ。
 実はこの作品、今は亡きロビン・ウィリアムズが映画化を熱望していたらしく、今回20年という構想を経てガス・ヴァン・サントがロビンの遺志を継ぐ形で作り上げたとのこと。私はもちろん、ジョン・キャラハンという風刺漫画家は知らなかったのだが、こいつがとんでもないアル中で、ジャック・ブラック扮するデクスターと2人でベロベロに泥酔しているのに車を運転して帰るとは、事故で大怪我を負ったのは当然の報いと言うべきで、正直同情の余地なしだ。だから、ジョンに感情移入もできずに傍観するしかなく、特にこの作品で気持ちを動かされることもなく、最期まで淡々と鑑賞していた気がする。
 そんなヤローにアヌーのような良く出来た彼女がいたのだが、彼女と知り合ったのも事故後のようだから、彼にとっては事故で失った物よりも手に入れた物の方が大きかったのかもしれない。そして、アヌーを演じるルーニー・マーラが本当に可愛らしく、実に魅力的な女性を演じている。そして、忘れちゃならないのがジョナ・ヒル演じる禁酒セッションの主宰者・ドニーだ。彼がジョンに対して行った忠告の数々はことごとく的を射ていて、「こんな道徳の教科書が服を着て歩いてるような奴、いるのかよ?」とさえ思ってしまうほどまとも過ぎる人物なのだ。そして、コピーには「世界は意外とやさしさであふれている」とあるが、ドニーの“優しさ”とは決してジョンを甘やかすだけではなく、時には厳しい言葉を投げつけて叱咤することもあった。ジョンがアルコールを断つことができたのも、ドニーの助力があってこそだった。
 そんなドニーに対して、ジョンは自分が彼から受けた恩義の何分の一かでも返すことができたかというと、非常に微妙だ。さらに、自分が運転した車の事故で友達を半身不随にしてしまったデクスターの気持ちを考えれば、もっと早く彼に会うべきだった。その辺りを考えると、ジョンが半身不随を理由に、いかに周囲に甘えていたかが浮き彫りになるというものだ。人は誰かの支えがなくては生きていけない、けれども、その“支え”は決して一方通行であってはならない。お互いに支えて支えられて、初めて本物の人間関係が形成されると思うのだが。