評     価  

 
       
File No. 3009  
       
製作年 / 公開日   2019年 / 2019年05月31日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   マイケル・ドハティ  
       
上 映 時 間   132分  
       
公開時コピー   王(キング)の覚醒。  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   カイル・チャンドラー [as マーク・ラッセル]
ヴェラ・ファーミガ [as エマ・ラッセル]
ミリー・ボビー・ブラウン [as マディソン・ラッセル]
渡辺 謙 [as 芹沢猪四郎博士]
チャン・ツィイー [as アイリーン・チェン博士]
ブラッドリー・ウィットフォード [as スタントン博士]
サリー・ホーキンス [as ヴィヴィアン・グレアム博士]
チャールズ・ダンス [as アラン・ジョナ]
トーマス・ミドルディッチ [as サム・コールマン]
アイシャ・ハインズ [as ダイアン・フォスター大佐]
オシェア・ジャクソン・Jr [as バーンズ海軍兵曹長]
デヴィッド・ストラザーン [as ウィリアム・ステンツ大将]
アンソニー・ラモス [as マルティネス二等軍曹]
エリザベス・ラドロウ [as グリフィン中尉]
ジョナサン・ハワード [as アッシャー・ジョナ]
CCH・パウンダー [as ウィリアムズ上院議員]
ジョー・モートン [as ヒューストン・ブルックス博士]
 
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あ ら す じ    ゴジラとムートーの戦いから5年後。巨大怪獣の存在が公になり、それまで極秘に怪獣の調査を行ってきた秘密機関モナークは政府や世論から怪獣への対応と被害の責任について追及を受け、解体の危機に晒されていた。同じ頃、中国・雲南省にあるモナーク基地では、モナークの科学者エマ・ラッセルと娘のマディソン・ラッセルは、怪獣たちの声を分析し怪獣とコミュニケーションを図れる装置“オルカ”を利用し、孵化したモスラの幼虫との交信を試みていた。しかし、そこへ環境テロリストであるアラン・ジョナ率いる傭兵部隊が基地を襲撃、エマとマディソンを連れ去り、“オルカ”も強奪されてしまう。
 事態を把握したモナークの科学者・芹沢猪四郎博士は、元モナークのメンバーでエマの夫マーク・ラッセルに協力を要請し、攫われた2人を救出するため力を合わせることとなる。
 オルカの音波を追跡した結果、アラン達がモナークの南極基地へ向かっていることが判明し、マーク達も南極へと向かう。南極基地を占拠したアラン達の目的は南極の氷塊に眠る怪獣"モンスターゼロ"を目覚めさせることだった。到着したモナークの兵士とテロリストが銃撃戦を繰り広げる中、マークは妻子と再会する。だが氷塊に仕掛けられた爆弾が爆発し、基地は崩壊してしまう。アランはエマとマディソンを連れて逃亡、マーク達も間一髪基地の崩壊から免れるが、それにより眠っていたモンスターゼロが目覚めてしまう。
 しかし、そこへモンスターゼロの復活を察知したゴジラが出現し、ここに怪獣たちによる世界の命運を掛けた戦いが始まった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2014年の『GODZILLA』の後継作となる、ハリウッド版ゴジラ。今回はモスラ、ラドン、そしてキングギドラという、日本のゴジラファンなら知らない人間はいないという怪獣たちがそろい踏みする。そして、予告編を観た限りではこれらの怪獣たちが覇権をかけて戦いを繰り広げるのかと思ったら、キングギドラはハリウッドでも宇宙怪獣という設定で、これを倒すためにゴジラとモスラが結束して戦うという、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)のリメイクのような内容だった。
 前作以上に随所にオリジナルの日本版ゴジラに対するオマージュがうかがわれるのは、観ていて悪い気はしない。1954年の記念すべき『ゴジラ』1作目で孤児らを仕留めたオキシジェン・デストロイヤー、そして、それを発明したのが平田昭彦扮する芹沢博士だったことを思い出した。伊福部昭のマーチや古関裕而のモスラの歌、ラストにはゴジラのスーツアクターだった故・中島春雄氏(2017年死去)への追悼と、リスペクトはわかるがどれだけ詰め込むのか?と逆に言いたくなるほどだった。
 前作もそうだったが、ハリウッド作品はどうしても“家族愛”を柱に描きたいようだが、結論から言うとカイル・チャンドラー演じるマークと、ヴェラ・ファーミガ演じる妻のエマ、そしてミリー・ボビー・ブラウン演じる娘のマディソンの3人の熱演にもかかわらず、観終えて印象に残っているのは敢えて怪獣を解き放ったという、まるでサノスのようなエマの狂気にも似たモチベーションのみ。この作品の圧倒的な怪獣の迫力の前には、人間の存在などは消し飛んでしまうのだ。一層のこと、これがシリーズ最後の出演となるだろう渡辺謙へのご祝儀も兼ねて彼を主演に据え、政治や家族の絆など完全に排除した純粋な“怪獣映画”にした方が良かったような気がする。
 中国人のチェン博士役の女優の顔が美人であまりに整っていて、もしやと思ったらやはりチャン・ツィイーだった。この作品に彼女が出演しているとは知らず、これは嬉しいハプニングだ。しかも、チェン博士は双子という設定で、これは『モスラ対ゴジラ』でザ・ピーナッツが演じた双子の小美人を意識したものだろう。また、世界各地に点在するモナークの基地にふられたナンバーが、実はそれぞれの怪獣映画の製作年度だとか。そういった、日本のゴジラに通じる小ネタを探してみるのも面白く、人によって様々な楽しみ方ができる作品だと言えるだろう。