評     価  

 
       
File No. 3020  
       
製作年 / 公開日   2015年 / 2019年06月14日  
       
製  作  国   中  国  
       
監      督   ジョン・ウー  
       
上 映 時 間   126分  
       
公開時コピー         

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   チャン・ツィイー [as ユイ・チェン]
金城 武 [as イェン・ザークン]
ソン・ヘギョ [as チョウ・ユンフェン]
ホァン・シャオミン [as レイ・イーファン]
トン・ダーウェイ [as トン・ターチン]
長澤 まさみ [as 志村雅子]
アマンダ・チン
ヤン・クイメイ
アンジェスル・ウー
ツォン・シャン
フェイ・ユー
トニー・ヤン
ワン・チエンユエン
ボウイー・ラム
リン・メイシウ
カオ・ジエ
ユウ・ヨン
黒木 瞳
コウ・シーシュン
 
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あ ら す じ   あ  1949年、1,000人近い乗客乗員を乗せて上海から台湾へ向かっていた、明らかに過積載の大型客船“太平輪”。船には従軍看護婦をしていたユイ・チェン、恋人・志村雅子と離ればなれになってしまった医師のイェン・ザークン、そして内戦からかろうじて生還した兵士・トン・ターチンらが、それぞれに違う目的で乗船していた。
 ユイ・チェンは行方が知れない恋人を探すため、イェン・ザークンは実家へ帰るため、そしてトン・ターチンは目の前で戦死した将軍レイ・イーファンの最期の命令を遂行するための航海だった。ところが深夜、太平輪は付近を航海中の貨物船と衝突してしまう。相手の貨物船はあっという間に大破し沈没してしまったが、太平輪は何事もなかったのように航海を継続する。けれども、実は船首に大きな亀裂が生じていて、そこから海水が浸入して太平輪も傾き始める。
 艦内は大パニックに陥り、それまでお互いを知る事の無かった男女3人の運命が交差する・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    先週の『PART I』に続いて2週連続で公開となった完結編。これを観て、完全に『PART I』は蛇足に過ぎないと確信した。中国版タイタニックともいうべき作品で、テーマは太平輪の海難事故、結局『PART I』はそこに至るまでの前置だったと。ただ、『タイタニック』の189分という尺に対し、この『太平輪』は『PART I』と『PART II』を合わせると255分、長い割には『タイタニック』のジャックとローズの悲劇のストーリーに比べると明らかに見劣りする。
 この『PART II』の前半ではそこそこの尺を費やして『PART I』のダイジェスト版のような復習映像を提供しているのだが、それがまた中途半端なやり方なのが気に入らない。『PART II』のオリジナル映像の合間合間に『PART I』の映像を細切れにして挿入してあって、そんなことをするなら思い切って1本にまとめて、無駄なシーンをカットするべきではないだろうか。確かに、チャン・ツィイー演じるユイ・チェンとトン・ターチンの知り合ったきっかけや、将軍レイ・イーファンと妻チョウ・ユンフェンの馴れ初めは『PART I』を観なければわからないが、それらを上手く編集して1本にまとめてしまえば『PART I』は必要ないし、130分もの尺の『PART I』に退屈させられることもなかっただろう。
 そして、肝心の海難事故のシーンは危惧したとおり60分にも満たなかったようだ。クライマックスに至るまでに、観ている者の気持ちが極限まで盛り上げられて、それがすべて解放される、というような構成になっていれば何の不満もないのだが、この作品の場合はその60分のために3時間もの長時間をダラダラとした映像に耐えなければならないわけで、これは苦痛でしかない。クドいようだが、この作品は『PART I』『PART II』の2作に分ける必然性などない。たまたま公開が1週間のずれしかないからいいようなものの、これが公開に1ヶ月、あるいはそれ以上の開きがあったなら、あの締まりのない何が言いたいのかわからない『PART I』の内容を忘れてしまうし、最悪『PART II』を観る意欲すら失せてしまうというものだ。
 時期は年の暮れ、しかも深夜とあって、おそらく気温は極寒だと思われるが、船から海に投げ出された人々から疲労感は感じ取れるのだが、残念ながら“寒さ”や“冷たさ”が伝わって来ない。また、1カットにあれもこれも欲張って収めているためか、映像が雑然として何が起きているのか判別しかねるシーンも少なくない。メインとなる海難事故のシーンがやっと拝めたという点では『PART I』よりもマシだったが、2作を通してみればもっと編集と構成を考えて欲しかった残念な作品だったと言わざるを得ないだろう。