評     価  

 
       
File No. 3022  
       
製作年 / 公開日   2017年 / 2019年06月21日  
       
製  作  国   アメリカ  
       
監      督   マイケル・ノアー  
       
上 映 時 間   133分  
       
公開時コピー   脱獄映画の金字塔が45年ぶりに蘇る!  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   チャーリー・ハナム [as アンリ・シェリエール(パピヨン)]
ラミ・マレック [as ルイ・ドガ]
イヴ・ヒューソン [as ネネット]
ローランド・ムーラー [as セリエ]
トミー・フラナガン [as ブレトン]
マイケル・ソーチャ [as ジュロ]
イアン・ビーティー [as トゥーサン]
ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン [as ウォーデンバロット刑務所長]
ペタル・シリカ [as アブダ]
 
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あ ら す じ    アンリ・シャリエールはパピヨンの愛称で知られる金庫破りの天才だったが、ある時全く無関係の殺人事件の濡れ衣を着せられて逮捕されてしまう。パピヨンには恋人のネネットと一緒にいたというアリバイがあったにも拘わらず、警察は聞く耳を持たず、ギアナで強制労働に従事させられることになった。同地の労働環境は著しく劣悪なもので、脱獄者を出さないための警備も十分なものであった。
 ギアナへ向かう船の中で、パピヨンは偽札職人のルイ・ドガに出会う。他の囚人たちはルイが金を体内に隠し持っていると確信しており、彼を殺害してその金を奪い取る機会を窺っていた。パピヨンはそこに目を付け、金銭と引き換えにルイを守る事を持ちかける。最初はパピヨンの申し出を断ったルイだったが、安全だと思われた環境下で仲間に殺される囚人を見て、身の危険を悟ったルイはパピヨンに警護を頼むことにした。
 利害の一致で協力することになった2人だが、その関係はやがて真の友情へと変貌していくのだった・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    『パピヨン』と言えば、当時小学生だったが'73年のスティーヴ・マックィーン主演作が思い浮かぶ。もちろん、その頃の私の興味はと言えばもっぱら東宝の『ゴジラ』や東映の『仮面ライダー』で、151分もの尺の脱獄映画などに興味は全くなかったから、劇場はおろかビデオやDVDでも観ていない。今回もあの『パシフィック・リム』のチャーリー・ハナムが主演で、共演が『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレックだという2点に惹かれて、いつも通り先入観なしに劇場で観ることになった。
 先入観なしに観たものの、オリジナルがどんな作品だったのか知りたくて、鑑賞後に一応映画サイト等を参照はしてみた。この作品ではラミ・マレックが演じているルイ・ドガを演じていたのはダスティン・ホフマンだったようで、いずれにしても誰かの庇護なしには真っ先に殺されてしまいそうなキャラではある。ちなみにそのラミ・マレックだが、『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットと彼自身のオスカー受賞を受けて早速の出演かと思ったら、この作品の制作は『ボヘミアン・ラプソディ』より1年も前に制作されていたようで、なぜ2年もの間日本で公開されなかったのかがわからない。だが、結果的には『ボヘミアン・ラプソディ』の後に公開がずれ込んだ事は、ラミ・マレック目当てで観たファンも少なくないようで、大成功だったと言えるだろう。
 確かにパピヨンが収容された刑務所が、想像を絶する過酷な環境にあったことは伝わってくる。当時こそあのような環境が存在したのだろうが、現在ではいかに囚人相手とは言え、完全に人権問題になるのは火を見るよりも明らかだ。自力では何もできないくせに、虎の威を借りて囚人たちを好き放題に扱う所長を筆頭に刑務所の連中は、見ているだけで虫唾が走る。が、なぜかパピヨンの自由に対する飽くなき渇望が伝わってこない気がする。フランス映画とハリウッド映画の違いだろうか、あるいは20分の尺の長さの違いだろうか。それとも、パピヨンを演じるチャーリー・ハナムのあまりに余裕のある態度のせいなのか。
 そんな余裕たっぷりに見えたチャーリー・ハナムだが、さすがに独房内での痩せこけた姿は痛々しい。そして、そうまでしても絶対にルイを売ろうとはしない堅い意志は、賞賛に値するだろう。それだけに、ラストで自分とは違う道を選択したルイとの別れのシーンがより感動的だった。