評 価
File No.
3046
製作年 / 公開日
2019年 / 2019年07月27日
製 作 国
日 本 / 台 湾
監 督
半野 喜弘
上 映 時 間
100分
公開時コピー
異国の地、孤独な男たちの運命が交わるノワール・サスペンス
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最初に観たメディア
Theater
Television
Video
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キ ャ ス ト
妻夫木 聡
[as 牧野]
豊川 悦司
[as 島]
ニッキー・シエ
[as シャオエン]
カイザー・チュアン
[as 346]
マイケル・ホァン
[as ガオ]
大鷹 明良
[as 加藤]
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あ ら す じ
一年前、ある事件をきっかけに日本から逃げるように台湾にやってきたヤクザの男・
島
。島は地元のボスである
ガオ
の庇護のもと、ひっそりと生きていた。ある夜、台北の屋台で島の前に一人の男が現れる。「ねえ、俺のこと憶えてない?」と島の名前を呼び馴れ馴れしく話しかける男は
牧野
といい、自信たっぷりに「俺はあんたの救世主なんだ」と意味深な発言をするのだった。
得体の知れない男・牧野を訝しがる島だが、“あのパーティー会場にいた”という一言で、牧野を完全に無視することができなくなる。“あのパーティー”とは、一年前にシンルーという女性が不審な死を遂げたパーティーのことで、シンルーのボディガードだった島にとって、彼女の死は振り払うことのできない影を落としたままだったのだ。
そんなある日、島をガオに紹介した日本のヤクザ・
加藤
が島を訪ねてきて、島に牧野の写真を見せ「探して殺せ」と指示する。牧野が命を狙われていることを知った島は、牧野を問い詰めるものの、牧野は一向に答えなかった。
隠された真実を語らない牧野を連れて、島は海岸沿いを経て台湾東海岸の町・花蓮へと車を走らせる。見渡す限り続く田園と美しい山と海がある花蓮に着いた2人は立ち寄ったバーで、
シャオエン
という、日本語を話す台湾人の女性と出会う。その容姿は、一年前に死んだシンルーにそっくりだった。この偶然の出会いに、牧野は密かに驚き、島は心が砕かれるほどの衝撃を受けるのだった。
運命の悪戯か、牧野と島は大きな屋敷にたった一人で暮らすシャオエンの家に泊ることになる。シャオエンも唯一の肉親である母親との問題を抱えていたが、家族でも恋人でもない3人が 共に過ごすことで、不協和音ばかりだった時間が少しずつ形を変え、それぞれの心を溶かしていく。いつも難しい顔をしてばかりいる島に「笑った方がいい」と無邪気に語りかけるシャオエン。シンルーと同じ顔をしたシャオエンに、笑顔で言われた島の心も動き始める。しかし、穏やかな日々は長くは続かなかった。
台北の街中で、路地の片隅で、幾度となく姿を見せるスーツ姿の男・
346
。現れるたびに死体が増えていく“死神”のような謎の男の影が、いよいよ花蓮にまで迫っていた。そして、牧野と島の逃亡を助けたガオたちを手にかけた346の魔手がシャオエンを襲う。自分の罪が招いた犠牲に耐えきれず、真実を打ち明ける牧野。慟哭する牧野に向かって怒りを露わにする島。初めて感情をむき出しにした二人が辿り着く場所とは・・・・・?
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たぴおか的コメント
妻夫木聡にトヨエツという主役級の俳優2人を起用し、日本・台湾の合作、音楽は坂本龍一と、それだけ見ると大いに期待を抱かせる作品なのだが・・・・・観てみると完全な期待倒れ。まぁ、期待しすぎると失望が大きいから、ある程度覚悟はしていたけど、それにしてもお世辞にも「面白い」とは言えない作品だった。逆に期待以上だったのは、シャオエン役で共演するニッキー・シエで、オフィシャルサイトの画像をちょっと見た限りでは「吉岡里帆」タイプかと思ったが、実際に映像を観てみると、吉岡里帆なんかよりもずっと可愛い。
とにかく登場人物の相関関係が把握しにくくて、妻夫木演じる牧野が一体どういう人物で、どういう因縁があって日本のヤクザ者・加藤から命を狙われているのか、また、トヨエツ演じる島も加藤とどういう関係にあるのか、あまりに漠然としていて、緊迫感に欠ける。緊迫感と言えば、牧野のあの軽すぎると言っていい立ち居振る舞いは、到底命を狙われていることを悟っている者のそれとは思えない。これに対して、島は逆にあまりにしゃべらなさ過ぎる。
そもそも、いくら一年前の事件のことを牧野が知っているようだったとはいえ、島があたかも相棒のように彼を連れて花蓮へ向かったのか、島の動機に関しては何ら説明がない。また、牧野が島につきまとうのも、どういう目的があってのことなのか、理解不能だ。つまりは、2人がなぜ行動を共にしたのか、その最も肝心な部分がわからないだけに、全編を通して霧に包まれたような感覚のまま終わってしまった気がする。