評     価  

 
       
File No. 3058  
       
製作年 / 公開日   2018年 / 2019年08月30日  
       
製  作  国   イギリス  
       
監      督   トム・エドマンズ  
       
上 映 時 間   90分  
       
公開時コピー   最後に笑うのはどっちだ!?Wシチュエーション痛快エンターテインメント!  

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   トム・ウィルキンソン [as レスリー・オニール]
アナイリン・バーナード [as ウィリアム・モリソン]
フレイア・メイヴァー [as エリー・アダムズ]
マリオン・ベイリー [as ペニー・オニール]
クリストファー・エクルストン [as ハーヴェイ]
ナイジェル・リンジー [as ブライアン]
ヴェリバー・トピック [as イワン]
ティム・スティード [as マイケル]
セシリア・ノーベル [as ウェンディ]
アシュトン・ヘンリー=レイド [as サム]
 
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あ ら す じ    小説家志望の青年ウィリアム・モリソンは、真っ暗な橋の上で人生に別れを告げ、落ちる覚悟を決めた。そこへ、年老いた男レスリー・オニールが声をかけ、自分が必要になった時連絡するようにと名刺を差し出した。ウィリアムは仕方なく受け取るが、その助けは要らないとばかりに橋から落ちていく。ところが、橋の下を偶然観光船が通りかかり、ウィリアムの自殺は失敗に終わるのだった。
 一方のレスリーは、英国暗殺者組合の会員として誇らしいキャリアを持っているが、今や暗殺件数のノルマを達成できずクビ寸前だった。自殺スポットに出向いては自殺志願者と契約し、引退を先延ばしにする日々を送っている。運悪く生き延びてしまい絶望するウィリアムは、橋の上で受け取った名刺を思い出す。7回目(中止を含めると10回目)の自殺未遂を経て、ついにプロの手を借りることを決心し名刺に書かれた番号へ電話するのだった。
 とあるカフェで待ち合わせをした2人。レスリーはウィリアムに「ターゲットを一週間以内に殺すことができなければ返金する」という契約を持ちかける。ウィリアムは自らをターゲットに設定し、契約書にサインする。ところが、契約成立後にウィリアムは出版社のエリー・アダムズから電話を受ける。なんと、自分の書いた小説を出版したいというのだ。そして、ウィリアムとエリーは出版に向けて話し合うなか、急速に惹かれあうのだった。
 ウィリアムには生きる希望が湧いてくるが、そんな希望は銃声によって打ち砕かれてしまう。しかし、レスリーの腕は全盛期とは違って鈍っていたのだ。その隙にウィリアムとエリーは生きるために逃亡する。一方レスリーは、年間ノルマを達成し引退を食い止めようと2人を必死に追いかける。自分には今でも才能があることを証明しなくてはならないのだ。「やっぱり契約破棄していいですか!?」そんな言葉は許されるわけがなく、ウィリアムとレスリーの人生を懸けた一週間の幕が上がる。果たして、最後に笑うのはどっちだ・・・・・!?
 
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たぴおか的コメント    主演がトム・ウィルキンソンであることとタイトルに惹かれて観たのだが、これが予想以上に面白かった。内容的には、2016年に公開されたオランダ映画『素敵なサプライズ』のように、とある男性が理由は異なるが自らを殺すという依頼をしたものの、その後の成り行きで自殺を思い留まり、契約を破棄するという内容で、心境の変化の原因が共に女性というのも共通している。
 こちらの作品は、殺害の依頼を受けたトム・ウィルキンソン演じる殺し屋レスリーが主人公で、実に愛すべき魅力たっぷりの殺し屋を演じてくれている。あの歳だったら、もう現役を引退して愛する妻と隠居生活してもいいのに、なぜか現役にこだわるのは老醜と言わざるを得ないが、彼の妻ペニーを演じるマリオン・ベイリーがまた素晴らしく、そんなレスリーが殺し屋であることなどどこ吹く風でノホホンとした接し方をするのがいい。それでいて、いざという時には彼の上司であるハーヴェイを刺さんとばかりに包丁を隠し持っていたとは、「内助の功」と言っていいんだか悪いんだか(笑)。
 ここからはネタバレになるので、例によって伏せておきます。
 クライマックスではレスリーが同僚のロシアの殺し屋イワンを殺して、それを依頼にすり替えるというエリーの提案で、ちょっと無理がある気もするが、レスリーもウィリアムも無事に終わってホッとした。2人の内どちらかでも死ぬようなことがあれば、きっと後味の悪い作品に終わっただろうから。ただ、最後の最後でウィリアムが希望していた“子供を助けて車に撥ねられる”というのが実現するとは、どうやら命に別状はないようだからいいようなものの、皮肉が効きすぎている気もする。