評     価  

 
       
File No. 3078  
       
製作年 / 公開日   2019年 / 2019年09月20日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   森 淳一  
       
上 映 時 間   128分  
       
公開時コピー   絶対に取りもどす。
    
猟奇殺人鬼vs視力を失った女性警官
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   吉岡 里帆 [as 浜中なつめ]
高杉 真宙 [as 国崎春馬]
大倉 孝二 [as 吉野直樹]
浅香 航大 [as 日下部翔]
酒向 芳 [as 高橋修作]
松大 航也 [as 浜中大樹]
國村 隼 [as 平山隆]
渡辺 大知 [as 横山司]
柳 俊太郎 [as 桐野圭一]
松田 美由紀 [as 浜中満代]
田口 トモロヲ [as 木村友一]
 
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あ ら す じ    警察官として将来を有望視されながら、自らの過失による事故で視力と弟の大樹を失い、失意の底にあった浜中なつめは、ある夜、車の接触事故に遭遇する。なつめは慌てて立ち去る車の中から助けを求める少女の声を耳にするが、彼女の訴えは警察には聞き入れてもらえない。視覚以外の人並外れた感覚、警察学校で培った判断力、持ち前の洞察力から誘拐事件だと確信するなつめは、現場にいたもう一人の目撃者高校生の国崎春馬を探し出す。
 事件に気づきながら犯人を見ていない目の見えないなつめと、犯人を見ていながら少女に気づかなかった高校生の春馬。“見えない目撃者”たるふたりの懸命の捜査によって、女子高生連続猟奇誘拐殺人事件が次第に露わになっていく。その真相に近づくなつめたちに、犯人は容赦なく襲いかかる。絶命の危機を前に、彼女らは、誘拐された女性を助けることができるのか・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    2011年の韓国映画『ブラインド』を、吉岡里帆主演でリメイクした作品。松岡里穂が盲目の女性をどう演じるかが不安だったが、彼女の演技があれほど上手いとは思ってもみなくて、これは嬉しい誤算だった。そして共演の高杉真宙が演じる国崎春馬も、彼の持ち味が充分に発揮されているキャラクターで、キャスティングに関しては成功だったと言っていい。脇役の刑事・木村を演じる田口トモロヲの抑えた演技も渋くていい。ただ、猟奇殺人を扱っているだけに、グロいシーンももちろんある。血を見るのが苦手な方は観ない方がいいかもしれないね。
 吉岡里帆演じる浜中なつめがいくら元警官とはいえ、あそこまで捜査情報を漏らしてしまうとか、加えてほとんどの謎がなつめの推理で解き明かされていくという警察の無能さなど、細かい突っ込み所は満載だけど、犯人がわかるまでの展開は飽きさせず、久しぶりにスリル満点なサスペンス作品には思わず期待してしまった。「このままだったら、もしかして星9個くらいは・・・・」なんてね・・・・・。
 ところが、犯人がわかってしまうとそこからは急に一転して作りが雑になってしまっているように感じるのが非常に残念。そもそも、犯人が連続猟奇殺人のサイコパスだとわかっていながら単身で相対し、しかもまるで相手が自分に危害を加えることなどないかと確信しているかのように背を晒す、田口トモロヲ演じる木村刑事。危険な殺人犯なんだから、少なくとも相手から目をそらしちゃ駄目だろう。どうしても背を晒すなら、とりあえずは手錠で繋いでおくべきだ。また、警察の操作マニュアルがどうなっているかは知らないが、現実にはこういうケースでは決して単独行動をしないってのが鉄則じゃないのかな?大倉孝二演じる部下の吉野刑事を伴うべきだった。
 そして、現役の操作一課と生活安全課の刑事との格闘シーンだあ、捜査一課の刑事があまりに弱過ぎる(笑)。刃物を持った相手に対して拳銃を持っていたにもかかわらず、あんなに簡単に手玉にされてしまうとは・・・・・。無理矢理主人公のなつめと犯人を対決させようという意図が見え見えだ。余談だけど、頭蓋骨ってあんなに簡単に刃物で切れるものなのだろうか?
 極めつけは、待っていれば応援の警官が来ることがわかっていながら、吉野の言いつけを守らずにのこのこと出向いていく春馬も春馬だけど、それに自分もついて行くと言うなつめの行動などは論外。だから、なつめが浴室で犯人に襲われるシーンも、絶対になつめが殺されることはないと安心して観られる。案の定犯人が手にした刃物で刺してしまえば簡単に済んだはずなのに、殴る・蹴るの連続で決して刃物は使おうとしない。ここまであからさまだと、さすがに興醒めしてしまった。まぁ、クライマックスでの犯人の位置を知るための仕掛けは、なるほど、弟に「私を守って」と祈ったのはこういう意味だったのか、とちょっと感心したけど。