評     価  

 
       
File No. 3126  
       
製作年 / 公開日   2019年 / 2019年11月22日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   中村 義洋  
       
上 映 時 間   125分  
       
公開時コピー   討ち入り、
やめとこか!
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   堤 真一 [as 大石内蔵助]
岡村 隆史 [as 矢頭長助]
濱田 岳 [as 大高源五]
横山 裕 [as 不破数右衛門]
荒川 良々 [as 堀部安兵衛]
妻夫木 聡 [as 菅谷半之丞]
大地 康雄 [as 奧野将監]
西村 まさ彦 [as 吉田忠左衛門]
木村 祐一 [as 原惣右衛門]
小松 利昌 [as 貝賀弥左衛門]
沖田 裕樹 [as 三村二郎左衛門]
橋本 良亮 [as 武林唯七]
寺脇 康文 [as 間瀬久太夫]
鈴木 福 [as 大石主税]
千葉 雄大 [as 磯田武太夫]
上島 竜兵 [as 早川惣介]
山口 良一 [as 井上段右衛門]
桂文 珍 [as 祐海和尚]
村上 ショージ [as 前田屋茂兵衛]
板尾 創路 [as 戸田権左衛門]
滝藤 賢一 [as 戸田采女正]
笹野 高史 [as 落合与左衛門]
竹内 結子 [as 大石理久]
西川 きよし [as 大野九郎兵衛]
石原 さとみ [as 瑤泉院]
阿部 サダヲ [as 浅野内匠頭]
 
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あ ら す じ    元禄14年、蕎麦一杯が16文、およそ480円であった時代。江戸城内“松の廊下”で赤穂藩藩主・浅野内匠頭が高家筆頭・吉良上野介に切りかかるという刃傷沙汰を起こし、内匠頭は切腹、赤穂藩は取り潰しを命じられたが、吉良上野介は咎を問われずじまいだった。
 この御上の沙汰を受け、間もなく城の明け渡しとなる中で“番方”と呼ばれる藩内の武闘派たちは「籠城の後に城を枕に討ち死にする」と言い出す。一方で“役方”と呼ばれる事務方や勘定方の藩士たちは割賦金(=退職金)を工面すべく奮闘していた。
 徹底抗戦という意見もある中で、浅野家の親戚筋から内匠頭の弟・大学を立てて御家再興の可能性があるという話を聞いた内蔵助は、番方たちを抑えようとする。そして、内蔵助と同い年の勘定方・矢頭長助はお金のことを考えずに好き勝手なことをいう番方に呆れ果てていた。
 内蔵助は、城を明け渡して浪人となった元藩士たちの世話を何かと焼いて回るが、先立つものが不安になってくる。そこで勘定方の長助を訪ねると、意外にも数千両の資金があることが分かる。その金の出どころは、内匠頭の正室・瑤泉院が嫁入りの時に持ってきた金銭を商人に貸し出し、赤穂の塩田事業を進めたことによる利益だった。
 豊富な資金があることに気持ちを大きくする内蔵助だがが、江戸と赤穂を往復する旅費や裏工作に費やしていく中であっという間に資金は目減りしていく。一方、世間では「赤穂藩士たちがいつ仇討に動くか」に注目が高まっていく。幕府や浅野の親戚筋からの監視がついていることを知った内蔵助はいつにも増して遊郭通いをしてカモフラージュをするが、演技と知らず正面から批判してきた長男の主税に「討ち入りはする」ということを漏らしてしまうのだった。
 これが監視役の耳に入り、内蔵助への刺客が放たれる。遊郭から飛び出してきた篭に刺客が襲い掛かり、中に向けて複数の刃が突き刺される。内蔵助を追いかけていた者たちが慌てて刺客を追い払うが時既に遅く、籠には外から見てもわかる程の血飛沫が散っていた・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    堤真一と岡村隆史のW主演・・・・・らしく、てっきり『武士の家計簿』の堺雅人のように討ち入りに臨むに当たっての銭の遣り繰りが中心に展開していくかと思っていたら、完全に予想を裏切られた。本人も言っていた通り岡村が演じる矢頭長助はあまりに控えめなキャラクターで、彼の持ち味全く活かされていないから、あれでは誰が演じても同じだろう。完全に客寄せパンダ的な扱いをされているとしか思えず、それを裏付けるかのように岡村演じる矢頭長助はストーリー半ばでお役御免になってしまうのだ。あれには、本当に唖然とさせられて開いた口がふさがらなかった。
 登場人物が多いのは、さすがに赤穂浪士四十七士の討ち入り話だから仕方ないにしても、上のキャスト欄を見ればわかる通り、たかだか2時間の尺であれだけのメンバーを紹介されても覚えられるはずがない。せめて、不破数右衛門や堀部安兵衛、それに内蔵助の息子・主税らメインの浪士に焦点を合わせることはできなかったのだろうか。そうすればもっと中身の濃い重厚な作品になっただろうと思うのだが、おそらくはこの作品のコンセプトがそういうものではなく、吉本興業による軽妙(軽薄と言いたくもなるが・・・・・)な喜劇だから仕方ないのかもしれない。
 と言うわけで、私には今ひとつこの作品の“面白さ”が伝わって来なかった。もちろん、笑えるシーンもあったのだが、それも爆笑するような面白さでは決してなく、敢えて言えば“失笑”あるいは“苦笑”といったところだろうか。そもそも、忠臣蔵は日本人の心の琴線に触れるような美談なのであって、それをキャストを観ればわかる通り吉本興業の芸人総出で茶化してコメディにしてしまおう、なんていう基本姿勢からしてどうも私には受け入れ難かったようだ。まぁ、制作?出資?に吉本が名を連ねているから、それはある程度甘受して観るべき作品ではあるようだ。裏を返せば、そんなものは受け入れたくないと思う向きは、スルーしても構わない、その程度の軽薄な作品だったようだ。余談だが、私は主役の大石内蔵助役は堤真一ではなく、佐々木蔵之介に演じてもらいたかった。