今年は1月1日が金曜日に当たることもあって、元旦早々に公開になる作品が観られて、これもその一つだ。他に観たい作品が多数あればスルーしていたかも知れないが、数少ない元旦公開作品のこと、「まぁ、観てみてもいいかな」程度の軽い気持ちで劇場に赴いたのだが・・・・・。
あのブルース・リーの名作『ドラゴンへの道』の原題が『猛龍過江/THE WAY OF THE DRAGON』に対して、この作品が『肥龍過江/ENTER THE FAT DRAGON』、BGMも『ドラゴンへの道』のそれが使われていて、リーへのオマージュが随所に溢れる、リーのファンにはたまらない作品・・・・・であるはずなのだが、中身は非常に残念な作品で、新年一発目から今年の先行きを暗示するような気がして気勢をそがれた感がある。
まず、主演のドニー・イェンなのだが、私はどうも彼のヒールにしか見えないルックスが好きになれず、この作品でも太って柔らかな表情に変わったと思われるのだが、眼鏡を外すとやはりあのヒール顔が見て取れる。どんなに人相が変わっても、目だけは変わらないというのは真理のようだ。そして、最強と謳われるそのカンフーアクションも控えめで物足りない。さらには、香港映画のメガホンを日本人が執ることがそもそもの誤りだと思わざるを得ないないようで、ドタバタ香港コメディの面白さは半減してしまっている。そしてトドメは竹中直人の存在。あの成海璃子主演の『山形スクリーム』でも、ブルース・リーへのオマージュだと称して見たくもない彼のモノマネを披露していたが、この作品でもその過剰な演技は完全に浮いてしまっている。彼のヅラネタも、『TRICK』の生瀬勝久の二番煎じだ。