評     価  

 
       
File No. 3387  
       
製作年 / 公開日   2020年 / 2021年06月18日  
       
製  作  国   日  本  
       
監      督   飯塚 健  
       
上 映 時 間   115分  
       
公開時コピー   選手でない彼らの
大逆転劇が始まる
 

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最初に観たメディア  
Theater Television Video
 
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キ ャ ス ト   田中 圭 [as 西方仁也]
土屋 太鳳 [as 西方幸枝]
山田 裕貴 [as 高橋竜二]
眞栄田 郷敦 [as 南川崇]
小坂 菜緒 [as 小林賀子]
落合 モトキ [as 葛西紀明]
菅原 大吉
八十田 勇一
濱津 隆之 [as 原田雅彦]
古田 新太 [as 神崎幸一]
大友 律 [as 岡部孝信]
狩野 健斗 [as 船木和喜]
山田 英彦 [as 斎藤浩哉]
加藤 斗真 [as 西方慎護]
大河内 浩 [as 西方弘]
 
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あ ら す じ    日本で行われる冬季五輪である長野五輪の男子スキージャンプ・ラージヒル団体の決勝が行われる日、テストジャンパーを務めるああああああああ西方仁也は特別な思いを秘めてこの日を迎えていた。前回のリレハンメル五輪で代表だった西方は怪我により今回の五輪で代表から漏れ、テストジャンパーとしてこの長野五輪に参加していた。彼は前回の五輪でジャンプを失敗し金メダルを逃す要因を作ってしまったああああああああ原田雅彦に日本スキージャンプ・ラージヒル団体の金メダルを託そうとしていた。裏方として五輪に参加しなければならない悔しさを胸に秘めながらも、仲間たちの奮闘を祈る西方だった。
 しかし、最初の試技において原田がジャンプを失敗してしまい、日本は4位に転落してしまう。さらに2回目の試技の前にジャンプ台周辺は猛吹雪となり、試技が中断してしまう。このままでは競技が終了してしまい、日本の金メダルの可能性はなくなってしまう。そんな中で審判団が協議を行い下した結論が、「25人全員のテストジャンパーが誰1人失敗することなくジャンプを行う」ことを条件に2回目の試技を行うというものだった。日本の金メダル獲得への思いは、25人のテストジャンパーにすべてに託されることとなった。
 「絶対に日本に金メダルを獲らせる」という祈りとともに、25人のテストジャンパーは吹雪の舞うジャンプ台に向かった。歓声も拍手も受けることはないが、誇りある名誉を受けた戦士達の闘いが今、始まる・・・・・。
 
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たぴおか的コメント    この作品の舞台となった長野五輪、そしてその前の原田失速で金メダルを逸したリレハンメル五輪も、共にテレビではあるがリアルタイムに観戦していた世代の私。リレハンメルでの原田雅彦の失速には唖然とさせられたが、その時のメンバーに西方がいたことは、この作品を観て思い出した。そして、そう言えば長野では西方の名前が無かったということも。
 その西方がまさか長野でテストジャンパーなんていう裏方に回っていたとは、もちろん知る由もない。いや、それどころか、テストジャンパーという役回りがあることすら知らなかった。彼らテストジャンパーが、単にジャンプ台のテストをするだけじゃなく、滑走路の新雪が踏み固められたり、極めて重要な役割を果たしてくれていたことを思い知らされた。
 実はこの作品、この週末に見る予定だった4作品の中でも、最も期待していなかったのだが、観てみるともう泣かされっぱなしの感動作で、おそらくこれほど泣かされたのは滝川広志(コロッケ)主演の『ゆずりは』以来のこと。おそらくは主演の田中圭演じる西方は、実際にもテストジャンパーという役割に最後まで迷いがあったのだろう。演技も控えめだったのだが、その分脇を固める聴覚障害者のジャンパー・高橋を演じた山田裕貴と、紅一点の女性ジャンパーの小林を演じた日向坂46の小坂菜緒が抜群に良かった。特に山田裕貴は、感動だけじゃなくて笑いも取るという多彩な演技を見せてくれていて、この作品では外すことの出来ない重鎮だ。加えて、眞栄田郷敦が演じたちょっとひねくれた感のある南川や、古田新太の演じる神崎も実は一皮むいたら中に熱い心を秘めている熱血漢で、彼ら全員の思いが集約されてこの感動作が成り立っているのだ。
 蛇足だけど、あの当たるも八卦当たらぬも八卦というジャンプを披露してくれた原田雅彦を演じた濱津隆之だが、顔が似ているようで似ていないビミョーなルックスだったが、おそらく本物の原田もこういう男だったのだろうと納得させられる好演だった。