評     価  
 
   
File No.   3503  
   
製作年 / 公開日   2022年 / 2022年01月28日  
   
製  作  国   日  本  
   
監     督   廣木 隆一  
   
上  映  時  間   128分  
   
鑑  賞  日   2022年01月28日  
   
劇     場   ユナイテッド・シネマ幕張  
 
公開時コピー   殺した。埋めた。
バレたら終わり。
 
キ ャ ス ト   藤原 竜也 [as 泉圭太]
松山 ケンイチ [as 田辺純]
神木 隆之介 [as 守屋真一郎]
黒木 華 [as 泉加奈]
伊藤 歩 [as 青木千尋]
渡辺 大知 [as 小御坂睦雄]
酒向 芳 [as 横田昭一]
迫田 孝也 [as 野毛二郎]
鶴田 真由 [as 守屋仁美]
波岡 一喜 [as 酒井義昭]
菜葉菜 [as 横田洋子]
諏訪 太朗 [as 鈴木賢治]
大石 吾朗 [as 山下伸介]
飯島 莉央 [as 泉恵里奈]
寺島 進 [as 岡崎正]
余 貴美子 [as 庄司華江]
柄本 明 [as 横田庄吉]
永瀬 正敏 [as 畠山努]
 
あ ら す じ    絶海の孤島にある日上陸した男。その男・小御坂睦雄は就職のために訪れたその地で、いきなり保護司の鈴木賢治を理由もなく絞殺して逃亡してしまう。
 黒いちじく栽培で脚光を浴び、過疎に苦しむその島で救世主的な期待を集める泉圭太。妻・加奈と一人娘の恵里奈との3人で幸せな暮らしを送っていた圭太だったが、ある日親友の田辺純と共に見知らぬ不審な男・小御坂を見かけた時から、それまでの生活が一変してしまう。庭にいたはずの恵里奈が行方不明になってしまい、現場には小御坂が持っていたペットボトルが転がっていた。圭太は娘が小御坂に誘拐されたのではないかと思い、新任警官の守屋真一郎も加えた3人で捜索を開始する。
 小御坂は圭太のビニールハウスに侵入しており、圭太は小御坂ともみ合いになった末、誤って殺してしまう。正直に自首しようとする圭太を慎一郎は制止し、死体を隠蔽しようと持ちかけるのだった。
 正体不明の小御坂など誰も探さないだろうという3人の思惑は裏切られ、島には刑事の畠山努青木千尋を筆頭に大勢の警官が送り込まれ、24時間体制の捜索が開始される。さらには、国からの交付金をあてに圭太に過度の期待をかける町長の庄司華江の思惑も絡み、事態は予想もしない方向へと向かっていくのだった・・・・・。
 
たぴおか的コメント    藤原竜也に松山ケンイチ、神木隆之介、そして黒木華と、これだけ主役級の役者を集めて、これで面白くなければよっぽど原作が酷いか、あるいは監督の手腕がダメダメかのどちらかだろう。幸い、そのどちらでもなく上質なサスペンス作品に仕上がっていた。
 藤原竜也扮する泉圭太、松山ケンイチ扮する田辺純、神木隆之介扮する守屋真一郎のキャスティングが絶妙にマッチしているのが、この作品の成功の第一因なのは間違いない。力強く真っ直ぐに生きていこうとする圭太、どこか影があって腹にイチモツを抱えていそうな純、そして、生真面目だがどこか脆さを内包する真一郎。その3人が殺人を犯してしまうのだが、圭太は正直に自首しようとする。だが、そこで自首してしまってはそこで話が終わってしまうから(笑)、3人は事件を隠蔽しようとしてストーリーは展開していくのだ。
 いつ、どこから、どのようにして犯罪が明らかになってしまうのか、予想外の殺人が繰り返されて、もういつバレてもしかたないところまで3人は追い込まれていく。その犯罪を追い詰めていくのが永瀬正敏扮する刑事の畠山なのだが・・・・・観ている者は主人公である3人に感情移入してしまうから仕方ないとはいえ、それを差し引いてもこの畠山って刑事がトンデモなくいけ好かない違法警官なのだ。覚えているだけでも、令状なしの家宅侵入罪を筆頭に、純の冷凍庫の鍵を破壊してしまう器物損壊罪、挙げ句には武器を持たない相手を銃で脅すという脅迫罪など、違法捜査(これを捜査と呼べるならばだが)のオンパレードだ。真一郎を心理的に追い込んだのが畠山の暴挙の数々であることは、想像するに難くない。そして、本来そんな違法捜査を制止すべき立場の、伊藤歩演じる青木刑事は、何の躊躇いもなく畠山に追従している。これは正直観ていて不愉快この上なかった。また、最終的に圭太は実刑に服することになったようだが、彼の行為は正当防衛か最悪の場合でも過失致死であり、初犯であるにもかかわらず執行猶予がつかないのは非現実的だ。
 ラストでは、幼馴染み3人のうち一人残された純が、黒木華扮する圭太の妻・加奈と娘の恵里奈の面倒を見るのだが・・・・・観ている者が「あっ!」というようなもう一盛り上がりあるんじゃないかと期待していた私としては、ちょっと肩透かしを食ったような気がしたのが残念だった。