言わずと知れた、一世を風靡した円谷プロの特撮ヒーロー・シリーズ第2弾。前作『ウルトラマン』が子供向けのヒーロー物だったのに対し、『セブン』は大人の鑑賞にも耐えうる重厚なストーリー(むしろ子供には難しかったほど)、所々にちりばめられた社会風刺など、単なるヒーロー物とは一線を画す名作に仕上がっている。

 

  ウルトラセブンの名の由来
 ウルトラヒーローシリーズの第2弾(ウルトラシリーズとしては第3弾)となるウルトラセブン。なぜ名前が「セブン」なのか?という疑問を持った視聴者は多いと思う。実は、シリーズ全49話を徹底的に観たとしても、ネーミングの由来がわかるシーンはない。

 「セブン」とはもちろん”7”を意味するわけで、ウルトラ警備隊がキリヤマ、フルハシ、ソガ、アマギ、アンヌ、ダン、の6名で構成されているため、「ウルトラ警備隊7人目の戦士」という意味から「ウルトラセブン」と命名されたのだ。実際に第1話にはキリヤマ隊長が「ウルトラセブンとでも呼ぶか」というシーンが存在したらしいのだが、尺の関係で残念ながらカットされたとのこと。かなり重要なシーンだと私は思うのだが・・・・・。

 余談だが、企画段階では「レッドマン」や「ウルトラアイ」というネーミングだったらしい。おそらく、アイ・スラッガーの名は「ウルトラアイ」からきているのだと思われる。

 

  オープニング
 ウルトラセブンのオープニングタイトルは、第1話〜第13話までと、第14話から最終話までの2種類ある。最初は着色した砂で描かれた文字を徐々に崩していくのを撮影してフィルムを逆に回したもの、14話以降は着色した 粘土で文字を描き、それを台に仕掛けた2つのモーターで回転させて崩していくのを撮影したフィルムを逆に回したものだ。個人的には後者のオープニングが好きだ。

【第1話〜第13話までで使われたオープニングタイトル】

【第14話〜最終話までで使われたオープニングタイトル】

 

  知る人ぞ知るあの有名な・・・・・
 ウルトラセブンのDVDにしてもビデオにしても、全巻借りてきて収録作品を数えてみると48話。ところが、最終話の『史上最大の侵略(後編)』は第49話。ということは、ビデオやDVDに収録されていないエピソードがあるということになる。それが、かの有名な第12話『遊星より愛をこめて』だ。

     

 私の記憶だと、この幻の第12話は、初回の放送に加えて最初の再放送の計2回放送されているが、以後は完全に封印されてしまっている。そのため、誰がどうやって手に入れたか知らないが、第12話のビデオがン万円というとてつもない価格で売買されていたこともあった。

 この第12話『遊星より愛をこめて』だが、内容に問題があるわけでもなく、従って放送禁止となったわけではない。では、なぜ第12話を封印しなければならなかったのか?原因は意外にも小学館にあった。

 昭和45年10月1日に発売された小学館の「小学2年生」11月号の付録「怪獣決戦カード」。そのカードには、第12話に登場するスペル星人が「ひばく星人」と記載されていた。ところが、これを購入したある読者の親が被爆者団体協議会に所属しており、小学館に抗議文を送るなど、社会問題にまで発展してしまったのだ。

 そのため、円谷プロは第12話を封印せざるを得なくなり、その結果、ダビングにダビングを重ねたような第12話のビデオが高額で取引されるに至ったというワケ。ちなみに、私も第12話のビデオを持っているが、これは友人が持っていたビデオをタダでダビングしてもらったものだ。 

 

  ほどんど知る人のいない・・・・・
 前述のスペル星人は、ウルトラセブンのファン達の間ではもはや知らない者はいないほどの伝説的存在になっている。それに対して、お蔵入りになってしまい、ほとんど知る人もいないキャラクター、それがビニヤ星人だ。

 藤川桂介氏が脚本を担当した第37話で放映されるはずの『湖底の叫び声』というタイトルのエピソードで登場する予定だったこのビニヤ星人は、水棲の宇宙人で着ぐるみまで制作されたものの(左画像がそれ)、水中の特撮が困難という理由からお蔵入りになってしまったらしい。

 ところで、このビニヤ星人の着ぐるみの首から下を見て、鋭い方はお気づきかもしれないが、この着ぐるみは後に別のエピソードで再利用されている。そう、首をすげ替えて赤を基調にした極彩色で着色すると、第45話『円盤が来た』に登場したペロリンガ星人(右画像)になるのだ。だから、ペロリンガ星人をよ〜く見てみると、その手に水かきがあることに気づくだろう。

 

  カプセル怪獣
 これは、ウルトラセブンで登場したアイテムの中でも非常に画期的なものだと私は思う。怪獣を小型カプセルに封じ込めて携帯し、いざというときに復元して敵と戦わせるとは。カプセル怪獣は、第1話でウインダム、第3話でミクラスが登場して以来、その他のカプセル怪獣がいつ登場するのか期待して観ていた記憶がある。というのも、ダンは常時5個のカプセルを所持しているからだ。

 そして、やっと第32話になって第3のカプセル怪獣アギラが登場する。ちなみに、このアギラのネーミングは、円谷英二氏の三男でウルトラセブンの助監督を務める円谷粲(つぶらや・あきら)氏の名前に由来しているのは有名な話・・・・・らしい。しかし、どうやらこのアギラも当初は登場させる予定はなかった ようだ。おそらくは、カプセルは5個あるが登場する怪獣はウインダムとミクラスの2頭だけ、というのがもともとのコンセプトだったのだろう。

 余談だが、カプセル怪獣が登場した時ウルトラ警備隊が攻撃を仕掛けることがなかったのもちろんのこと、敵視さえまったくしていなかったのは不思議だ。セブンの命令に従う怪獣だと最初からわかっていたのだろうか?


カプセル怪獣ウインダム

カプセル怪獣ミクラス

カプセル怪獣アギラ

 

 兵器の数々
 ウルトラセブンに登場する地球防衛軍の超兵器は、 ウルトラマンのそれと比較すると飛躍的な発展を遂げており、ウルトラシリーズ中最も画期的なアイデアが駆使されていると言っても過言ではない。 空はウルトラホーク、地上はポインター、地中はマグマライザー、海底はハイドランジャーと、陸・海・空のすべてをカバーしている。

 

  ウルトラホーク 1号
 アルファ号・ベータ号・ガンマ号の3機に分離することが可能な戦闘機。

    

  ウルトラホーク 2号
 航行速度、航続距離ともに1号、3号を上回るホーク2号は、主に惑星間飛行に利用される。
    
  ウルトラホーク 3号
 戦闘機とういうよりも、偵察機といった性格が強い。マグマライザーを積載可能。
    
  ポインター号
 ウルトラ警備隊の超兵器の中で、もっとも憧れたのがこのポインター。今見ても全く古さを感じさせず、これ以後のウルトラシリーズに登場する車のような徒にゴテゴテと着飾った感もない。ちなみに、フロント・ライトの下部にあるレーザー発射口を取り除けば、そのままで車検も通るらしい。当時と違い、今は 私も運転免許を持っているから、一度ポインターに乗って高速をドライブしてみたいものだ。どんな車よりも周囲の目を惹くことは間違いない。
    
  マグマライザー
 地底探索用のマシン。頭部に大きなドリルを装備し、地中を掘りながら進む。現実的には、こういう形状のドリルだと岩盤に穴を開けることはできても、穴を開けたら最後、その穴に嵌り込んでしまって前には進めなくなってしまうらしい。
    
  ハイドランジャー
 海底探索艇。

    

  宇宙ステーションV3
 

 

  やっぱりアンヌ隊員
 ウルトラセブンを語る上で欠かすことができないのが、アンヌ隊員の存在だ。てことで、アンヌ隊員画像を拾ってみた。

 有名な話だが、ウルトラセブンの当初のキャスティングではアンヌ役は菱見百合子さんではなく、豊浦美子さんという女優だった


この女性が豊浦美子さん
 この豊浦美子さんは東宝で菱見百合子さんの1年先輩にあたる女優。セブンへの出演が決まり、撮影が開始された時点でも脚本のアンヌ役は豊浦美子さんになっていたのだが、映画『クレージーの怪盗ジバコ』に準主役で出演が決まり、アンヌ役を降板することとなった。そのため、急遽代わりの女優を探した結果、菱見百合子さんがアンヌ役に抜擢されたというわけ。

 豊浦さんは映画とウルトラセブンを天秤にかけて、結局映画を選んだのだが、果たしてその選択が彼女にとって正解だったか否か?


 今となってはその解答を知るべくもないが、 結果だけを見ると、菱見さんはアンヌ役を演じたことによって、当時ウルトラセブンを観ていた少年たちの心に憧れの女性として強く残った。対する豊浦さんは、「アンヌ役を降板した女優」という事実は残っているが、女優としての彼女を知る人間は極めて希である。

 その点だけを考えると、豊浦さんにとってウルトラセブンを降板したことは、大きなマイナスの選択だったかもしれない。だったら、豊浦さんがアンヌ隊員を演じていたら今と同じようにアンヌ隊員が人気を博していたかというと、それは全くの未知数だ。なぜなら、アンヌ人気は菱見百合子さんの女優としての魅力が生んだものであって、言い換えれば彼女の魅力そのものだったからだ。

 それはともかく、何しろ急にアンヌ役に菱見さんが抜擢されたために、ウルトラ警備隊のユニホームも豊浦さんのサイズで作られており、菱見さんにはかなり窮屈だったらしい(特に胸のあたりが)。それがかえって怪我の功名となり、バストを強調するようなあのユニホームに愛らしい笑顔のアンヌ隊員が誕生し、私を含めたアンヌファンを虜にしてしまったのだ。

 

  今をときめく大女優が
 これもまた有名な話なのだが、あの大女優・松坂慶子さんが女子大生 ・香織役で登場しているエピソードがある。第31話『悪魔の住む花』がそうだ。


オープニングのクレジット


女子大生香織さん


ダリーに操られる香織さん

 宇宙細菌ダリーの卵の殻を花びらと間違えて口づけしてしまい、体内にダリーが入り込むきっかけとなったシーンと、ダリーに乗り移られて操られている時のシーンだ。さすがに若々しく当時から美人であったことがうかがわれる 。

 

  ウルトラマン・科特隊の隊員が
 ウルトラセブンには、ウルトラマンで科学特捜隊員を演じた俳優のうち、ハヤタ隊員を演じた黒部進氏を除く全員が登場している。

 その筆頭は石井伊吉氏(現:毒蝮三太夫氏)で、科特隊では嵐隊員を演じていたが、ウルトラ警備隊でもフルハシ隊員を演じ、2作にわたってレギュラーを務めた唯一の人物。

      

 次に、科特隊の村松キャップを演じた小林昭二氏が、第47話 『あなたはだぁれ?』で主人公のサラリーマン・佐藤さんに扮している。

      

  井出隊員を演じた二瓶正也氏は、第42話『ノンマルトの使者』でシーホースの乗組員を。

      

 富士隊員を演じた桜井浩子氏は、幻の第12話『遊星から愛をこめて』で アンヌの友人であり佐竹(正体はスペル星人)の恋人でもある早苗役。 ちなみに、私は今の今までフジ隊員は藤隊員だとばかり思いこんでいた・・・・・。

      

 そして異色なのが、ウルトラマンの着ぐるみを着ていたの が、ウルトラ警備隊・アマギ隊員を演じる古谷敏氏だった。

      


 

  英語
 ウルトラセブンが大人の鑑賞に堪えうる、と書いた理由のひとつとして、挿入歌にも歌詞がすべて英語という歌が使われているのを筆頭にした (当時は現在と違って 、子供向け番組の挿入歌に歌詞が英語の歌を使うなど考えられなかった)、英語の使用が挙げられるだろう。
 
  ウルトラホーク発進時に
 ウルトラホーク発進時にドック内に響き渡る英語のアナウンス。子供の頃は意味もわからずにただ「カッコイイ」と思っていた 。あの声の主は声優ではなく、声優への演技指導用に円谷プロ・満田監督自身が録ったものだった。アナウンスの内容は次の通り。
Fourth gate open! Fourth gate open! Quickly! Quickly! Fourth gate open! Fourth gate open! 20 seconds before. All out! Pull the throttle! All right , Let's go!
 
  TDF
 ウルトラ警備隊が使用する、ウルトラホークを筆頭にしたメカの全てに必ず記されている”TDF”の文字(上の画像のうち、ポインターやマグマライザーを見るとハッキリわかる)。これは、Terrestrial Defense Forceの頭文字をとったもので、意味は「Terrestrial = 地球の」、「Defense = 防衛」、「Force = 軍隊」、つまりは地球防衛軍(そのまんま)という意味になる。

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